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ファーストリテイリングは法定雇用率達成してる?ユニクロの障害者雇用を解説

株式会社ファーストリテイリング 法定雇用率 アイキャッチ

「ファーストリテイリングは法定雇用率を達成しているの?」そんな疑問をわかりやすく解説します。

目次

株式会社ファーストリテイリングとは?

株式会社ファーストリテイリング キャプチャ

会社概要

正式社名株式会社ファーストリテイリング(FAST RETAILING CO., LTD.)
設立1963年5月1日(創業は1949年)
所在地山口県山口市佐山10717-1
代表者代表取締役会長 兼 社長 柳井 正
資本金102億7,395万円
従業員数約59,000人(連結・2024年8月時点)
上場プライム市場(9983)
公式サイトhttps://www.fastretailing.com/jp/

主な事業内容

株式会社ファーストリテイリングは、日本を代表する世界的アパレル企業です。主力ブランドである「ユニクロ」を中心に、グローバルに展開しています。ユニクロは「LifeWear」というコンセプトのもと、誰もが日常的に着られる高品質でシンプルな服を手頃な価格で提供するブランドとして、国内外で圧倒的な支持を得ています。

グループ会社一覧と特徴

ファーストリテイリングは、ユニクロを中心に世界規模で事業を展開するアパレルグループです。主力ブランドであるユニクロに加え、低価格帯のカジュアル衣料を展開する「GU(ジーユー)」、シンプルで上質な日常着を提案する「PLST(プラステ)」、ニューヨーク発のファッションブランド「Theory(セオリー)」など、幅広いブランドを展開しています。

また、フランス発の「Comptoir des Cotonniers」や「Princesse tam.tam」、アメリカの高級デニムブランド「J Brand」など海外ブランドも傘下に持ち、グローバルなポートフォリオを形成。日本国内だけでなくアジア・欧米を含めた20以上の国と地域に進出し、ファッションを通じた生活文化の発信企業として成長を続けています。

このように、ファーストリテイリングはユニクロ単体の企業ではなく、複数のブランドを通じて世界の人々に多様なライフスタイルを提案する総合アパレルグループといえます。

グループの特徴

ファーストリテイリングの最大の特徴は、「製造小売(SPA)」モデルを徹底している点です。素材の開発、製造、物流、販売までを一貫して管理することで、高品質と低価格を両立。さらに環境配慮やサステナビリティ経営にも積極的に取り組んでおり、世界的に注目されるアパレル企業のひとつとなっています。

ファーストリテイリングの障害者雇用への取り組み

特例子会社を持たない独自の方針

ファーストリテイリングは、他の大手企業のように特例子会社を設立せず、グループ全体で障害者雇用を推進している点が大きな特徴です。雇用を一部の子会社に集中させるのではなく、全国の店舗や事業所で直接障害のある方を雇用する仕組みを整えています。

「1店舗1名雇用」を目指した取り組み

ユニクロやGUをはじめとする店舗ごとに、障害のある方を1名以上雇用することを目標としています。これにより、地域社会に根差した職場づくりを進め、誰もが働きやすい環境を実現しています。

法定雇用率を大きく上回る実績

ファーストリテイリングは法定雇用率(現在2.5%)を大幅に上回る水準を維持しており、2021年度にはグループ全体で4.6%という高い雇用率を達成しました。これは国内大手企業の中でも非常に高い水準といえます。

具体的な取り組み事例

  • ユニクロ店舗でのバックヤード業務(商品整理、検品、タグ付けなど)
  • オフィスでの事務サポート(データ入力、文書作成、備品管理など)
  • 物流センターにおけるピッキングや仕分け作業
  • 障害特性に応じた研修やジョブコーチ制度を導入し、定着支援を強化

このように、ファーストリテイリングでは特例子会社を中心に幅広い職務を用意し、障害のある社員が安心して働ける仕組みを構築しています。

多様な職務での活躍を支援

障害のある社員は、店舗での商品補充や清掃、接客補助などを中心に活躍しています。職務を明確に分担し、適性に応じた働き方を整えることで、安心して働ける環境づくりを進めています。

ファーストリテイリングは特例子会社を設けず、全店舗で障害のある方と共に働く体制を築いている点が特徴です。日常の現場に多様性を取り込み、法定雇用率を大きく上回る成果を上げており、社会的にも注目される取り組みといえます。

法定雇用率とは?

法定雇用率の定義と仕組み

法定雇用率とは、障害者雇用促進法に基づき、企業や行政機関に義務付けられている「従業員に占める障害者の割合」のことです。企業はこの割合を満たすように障害者を雇用する義務があり、達成状況は毎年報告されます。

民間企業では、常用労働者が43.5人以上の場合に雇用義務が発生します。2024年4月からは2.5%、2026年7月からは2.7%に引き上げられる予定です。つまり、従業員1,000人の企業では現在25人、2026年以降は27人の障害者雇用が必要になります。

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計算方法と対象労働者

必要な雇用人数は「従業員数 × 法定雇用率」で算出します。短時間労働者(週20時間以上30時間未満)は0.5人としてカウントされるなど、実際の計算には細かなルールがあります。また、身体障害・知的障害・精神障害など幅広い障害が対象となります。

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未達成の場合の措置

法定雇用率を満たしていない企業は「障害者雇用納付金」を国に支払う必要があります。不足1人あたり月額5万円が基本で、大企業ほど負担額も大きくなります。さらに、行政からの指導・勧告や、最終的には企業名の公表といった措置がとられる可能性もあります。

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特例子会社制度との関係

大企業では、障害者雇用をより専門的に進めるため「特例子会社」を設立するケースがあります。特例子会社で雇用した障害者は、親会社と合算して雇用率にカウントできるため、大規模企業にとって重要な仕組みです。ファーストリテイリングの場合も、2001年設立の「リンク・ソリューション株式会社」が特例子会社として認定されており、グループ全体の障害者雇用を支えています。

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従業員数から見る必要な障害者雇用人数

法定雇用率は従業員数に応じて必要な障害者の雇用人数が決まります。規模の大きいファーストリテイリングでは、その数も非常に多くなります。

現在(2.5%)の必要人数

ファーストリテイリングの従業員数は、連結で約59,000人とされています。この場合、

59,000人 × 2.5% = 1,475人

となり、現在は少なくとも約1,475人の障害者雇用が必要です。

2026年7月以降(2.7%)の必要人数

2026年7月からは法定雇用率が2.7%に引き上げられます。同じ従業員数で計算すると、

59,000人 × 2.7% = 1,593人

となり、将来的には1,600人近い障害者雇用が求められます。

数字から見えるポイント

  • 59,000人規模の企業では、1475人以上の障害者雇用が必要
  • 特例子会社「リンク・ソリューション」がグループ全体の雇用を支える中核的な役割を担う
  • 2026年以降はさらにハードルが上がり、採用・配置・定着支援を含む総合的な体制強化が不可欠

このように、従業員数をもとにした具体的な計算を行うと、ファーストリテイリングがどれほど大規模な障害者雇用を実現しなければならないかが明確に見えてきます。

ファーストリテイリングは法定雇用率を達成しているのか?

達成

ファーストリテイリングは、2001年から本格的に障害者雇用を推進してきました。ユニクロやジーユーでは「1店舗につき1名以上の障害者を雇用する」という目標を掲げ、2012年以降は国内店舗の8割以上でその目標を達成しています。

その結果、2021年12月時点では国内グループ全体で1,100名以上の障害者が勤務。雇用率は4.6%(2021年度)と、当時の法定雇用率2.3%を大きく上回る水準を実現しています。これは、全企業の半数以上が法定雇用率を達成できていなかった状況の中で、際立った成果といえます。

現在は法定雇用率が2.5%に引き上げられ、2026年には2.7%となる予定ですが、ファーストリテイリングは既に高い雇用率を実現しているため、今後も十分に対応できる体制を整えていると考えられます。特例子会社「リンク・ソリューション株式会社」を中心とした雇用の仕組みと、店舗単位での採用目標の徹底が、同社の大きな強みといえるでしょう。

『流通業界』各社の法定雇用率について

「流通業界の各社は法定雇用率を達成しているのか?」会社ごとにまとめていますので是非ご覧ください。

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この記事を書いた人

法定雇用率ナビの編集部です。福祉業界員は5年以上在籍しており、企業の障害者雇用や障害者の方々のリアルな就職状況など目の当たりにしてきました。わかりやすい言葉で様々な角度からの情報をお届けできたらと思います。

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