「ケーズホールディングスは法定雇用率を達成しているの?」そんな疑問をわかりやすく解説します。
ケーズホールディングス株式会社とは?

会社概要
会社名 | ケーズホールディングス株式会社 |
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所在地 | 茨城県水戸市城南二丁目7番5号 |
設立 | 1947年12月21日(2010年に持株会社体制へ移行) |
資本金 | 181億25百万円(※2025年3月期連結情報) |
従業員数 | 15,898名(うち臨時従業員数 8,666名)(※2025年3月期連結情報) |
上場市場 | プライム市場(8282) |
代表者 | 代表取締役社長執行役員 吉原 祐二 |
公式サイト | https://www.ksdenki.co.jp/ |
主な事業内容
ケーズホールディングスは、家電量販店「K’sデンキ」を中心に、全国で約550店舗を展開しています。家電製品の販売だけでなく、設置工事やアフターサービス、リフォーム事業なども手掛けており、「新製品が安いケーズデンキ」のキャッチフレーズで広く知られています。
また、「あんしんパスポート」など独自の会員サービスや、長期無料保証制度を通じて顧客満足度の向上に努めています。
グループの規模と特徴
連結従業員数は約1万6,000名、売上高は7,000億円規模(2024年3月期)にのぼります。関東・東北・中部・近畿エリアを中心に店舗網を広げ、地方都市にも強いブランド力を持っているのが特徴です。
家電量販業界ではヤマダデンキ、ビックカメラに次ぐ上位グループに位置しています。
グループ会社
会社名 | 事業内容 | 公式サイト |
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株式会社ケーズデンキ | 家電量販事業(K’sデンキの店舗運営) | https://www.ksdenki.co.jp/ |
株式会社ギガス | 中部エリアを中心とした家電販売 | https://www.ksdenki.co.jp/gigas/ |
株式会社デンコードー | 東北エリアでの家電販売 | https://www.ksdenki.co.jp/denkodo/ |
株式会社九州ケーズデンキ | 九州エリアでの家電販売 | https://www.ksdenki.co.jp/kyushu/ |
ケーズキャリアスタッフ | 派遣会社 | https://kcs.ksdenki.co.jp/ |
これらの子会社を通じて、地域ごとにきめ細やかな店舗運営を行っているのがケーズホールディングスの特徴です。
ケーズホールディングスと障害者雇用
障害者雇用に関する基本方針
ケーズホールディングスは、地域に根ざした企業として「人を大切にする経営」を掲げており、多様な人材が活躍できる環境づくりを推進しています。障害のある方についても、働きやすい職場環境を整えることを重視し、CSRやサステナビリティの方針においても障害者雇用推進を明記しています。
雇用の場を単に提供するだけでなく、長期的に安心して働けるよう配慮した人材活用を進めています。
ケーズホールディングスには特例子会社はあるの?
2025年時点で、ケーズホールディングスには特例子会社は設立されていません。そのため、障害者雇用はグループ会社や店舗、本社、物流拠点での直接雇用によって進められています。
大手家電量販業界では特例子会社を設立する事例もありますが、ケーズホールディングスは「現場で共に働く」スタイルを重視しており、店舗やセンターでの職域を広げながら対応しているのが特徴です。
具体的な雇用の取り組み事例
ケーズデンキの店舗では、障害のある社員が商品の品出しや陳列、清掃、カート整理、バックヤードでの軽作業などを担当しています。物流センターでは、仕分けや梱包、検品といった作業に従事するケースもあります。
また、本社部門ではデータ入力や文書整理、郵便物の仕分けといった事務作業を担う障害者の雇用も進められています。さらに、ハローワークや就労支援機関と連携した採用活動、特別支援学校からの実習受け入れも行っており、採用から定着までを支援する仕組みづくりに取り組んでいます。
法定雇用率とは?

法定雇用率の定義と仕組み
法定雇用率とは、企業や行政機関が雇用する従業員に対して、一定割合以上の障害者を雇用することを義務づけた制度です。障害者雇用促進法に基づき、障害のある方の雇用機会を確保し、社会参加を促進することを目的としています。
この割合は国によって定められており、社会状況に応じて段階的に引き上げられています。
対象企業と義務内容
民間企業では、常用労働者が43.5人以上いる場合に法定雇用率が適用されます。
基準を満たしていない企業には「障害者雇用納付金」(不足1人あたり月額5万円)の支払い義務が発生し、逆に達成・超過している企業には助成金や奨励金が交付される仕組みもあります。長期にわたって未達成の場合は、企業名公表や行政指導の対象となることもあります。
計算方法と対象労働者
必要な障害者の雇用人数は、常用労働者数 × 法定雇用率で算出されます。
ケーズホールディングスの2025年3月期の従業員数は15,898名ですが、このうち8,666名は臨時従業員です。臨時従業員の多くは週20時間未満勤務のパートやアルバイトであるため、法定雇用率の計算には含まれません。
したがって、対象となる常用労働者は約7,000名となります。この場合の必要雇用人数は以下の通りです。
- 2024年4月以降の法定雇用率2.5% → 175人以上
- 2026年7月以降の法定雇用率2.7% → 189人以上
なお、算入ルールは次の通りです。
- 週30時間以上勤務 → 1人としてカウント
- 週20時間以上30時間未満勤務 → 0.5人としてカウント
- 重度身体障害者・重度知的障害者(短時間勤務でも) → 1人としてカウント
- 2018年以降は精神障害者も算入対象に追加
- 在宅勤務(テレワーク)も条件を満たせば算入可能
法定雇用率の推移
施行時期 | 民間企業の法定雇用率 |
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2018年4月~ | 2.2% |
2021年3月~ | 2.3% |
2024年4月~ | 2.5% |
2026年7月~ | 2.7%(予定) |
このように法定雇用率は段階的に引き上げられており2026年7月からは2.7%に引き上げられます。ケーズホールディングスにおいても約200人規模の障害者雇用が今後必要となります。
ケーズホールディングスは法定雇用率をクリアしているのか?

直近の障害者雇用率
ケーズホールディングスのESGデータによると、障害者雇用率は以下の通り推移しています。
- 2021年:2.8%
- 2022年:2.9%
- 2023年:3.2%
この数値はいずれも法定雇用率(2021年時点:2.3%、2022年以降:2.3%→2.5%)を上回っており、ケーズホールディングスは継続して法定雇用率を達成していることがわかります。(詳細はコチラ:ESGデータ集)
法定雇用率達成状況
2025年3月期におけるケーズホールディングスの常用労働者数は約7,000人と推定されます。
この場合に必要な障害者雇用人数は以下の通りです。
- 2024年4月以降の法定雇用率2.5% → 175人以上
- 2026年7月以降の法定雇用率2.7% → 189人以上
最新データ(2023年:3.2%)をもとにすると、ケーズホールディングスは必要人数を十分に満たしており、法定雇用率を確実にクリアしている状況です。
今後の取り組み予定
2026年7月には法定雇用率が2.7%に引き上げられる予定ですが、既に3.2%を達成しているケーズホールディングスにとっては大きなハードルではありません。
今後も店舗や物流センター、本社部門での職域拡大を進めることで、障害のある社員が安心して長期的に働ける環境をさらに充実させていくことが期待されます。
『流通業界』各社の法定雇用率について
「流通業界の各社は法定雇用率を達成しているのか?」会社ごとにまとめていますので是非ご覧ください。