セブン&アイ・ホールディングスとは?

会社概要
正式社名 | 株式会社セブン&アイ・ホールディングス(Seven & i Holdings Co., Ltd.) |
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設立 | 2005年9月1日 |
所在地 | 東京都千代田区二番町8番地8 |
資本金 | 500億円 |
連結従業員数 | 約152,859人(パート含む/月163時間換算) |
単体従業員数 | 約1,097人 |
連結売上高 | 約18兆4,428億円 |
上場 | プライム市場(3382) |
店舗数 | 国内:約23,000店舗/世界:約87,000店舗 |
公式サイト | https://www.7andi.com/ |
主な事業内容
セブン&アイ・ホールディングスは、日本最大級の流通グループです。コンビニエンスストア「セブン‐イレブン」を中心に、総合スーパー「イトーヨーカドー」、スーパーマーケット「ヨークベニマル」、金融サービスを担う「セブン銀行」、生活雑貨の「ロフト」、外食事業の「デニーズ」など、多岐にわたる事業を展開しています。
日常生活に密着した事業領域を幅広くカバーしており、グループ全体の売上高は18兆円を超える規模となっています。
グループ会社と店舗展開
セブン&アイ・ホールディングスのグループは非常に多彩で、コンビニエンスストア、スーパー、百貨店、外食、金融、専門店など幅広い業態をカバーしています。国内外に展開する店舗数は合計で10万店舗を超えており、まさに世界有数の流通グループといえます。
特に中核を担うのは「セブン‐イレブン・ジャパン」で、国内に約2万3,000店舗、海外を含めると8万7,000店舗以上を展開しています。その他にも、食品や衣料・日用品を扱う「イトーヨーカドー」、地域密着型のスーパー「ヨークベニマル」などが、全国の生活インフラとして重要な役割を果たしています。
また、グループは小売事業だけにとどまらず、「セブン銀行」のATM事業や「セブン・カードサービス」の金融事業、「ロフト」に代表される専門店事業など、生活を幅広く支えるサービスを展開しているのも特徴です。さらに、グループ横断の商品開発ブランド「セブンプレミアム」は、高品質で手頃な価格帯の商品として定着し、食品から日用品まで幅広く支持を集めています。
代表的なグループ会社です。
- セブン‐イレブン・ジャパン(国内最大のコンビニチェーン)
- イトーヨーカ堂(総合スーパー)
- ヨークベニマル(東北を中心に展開するスーパーマーケット)
- セブン銀行(コンビニATM事業)
- ロフト(生活雑貨専門店)
- デニーズ(セブン&アイ・フードシステムズ)(ファミリーレストラン)
- セブン・カードサービス(クレジット・電子マネー事業)
- セブン&アイ・クリエイトリンク(商業施設・不動産開発)
このようにセブン&アイ・ホールディングスは、単なる小売業を超えて、生活に密着した多角的なサービスを提供する企業グループとして成長を続けています。
セブン&アイの特例子会社と障害者雇用
障害者雇用に関する基本方針
セブン&アイ・ホールディングスは「多様な人材が活躍できる職場環境づくり」を基本方針として掲げ、グループ全体でダイバーシティ&インクルージョンの推進に取り組んでいます。
障害のある方も含め、社員一人ひとりが自分らしく働ける環境を整備することを企業の重要な社会的責任と位置付けています。
株式会社テルベ(セブン&アイ唯一の特例子会社)

株式会社テルベは、1994年にセブン&アイ・グループ4社(イトーヨーカ堂、セブン-イレブン・ジャパン、ヨークベニマル、セブン&アイ・フードシステムズ)と北海道北見市の共同出資により設立された特例子会社です。社名は「緑の大地」を意味するフランス語に由来しており、誰もが芽を伸ばせる職場を目指す思いが込められています。
事業内容
- 椎茸事業:北海道北見市のハウスで年間100トン以上の椎茸を生産。「てるべえ」ブランドとしてイトーヨーカドーの店舗や学校給食、グループ社員食堂に供給されています。
- 印刷事業:グループ向けの帳票、POP、名刺、ポスター、小冊子などを製作。地域の教育機関からの印刷依頼にも対応し、環境配慮型のFSC認証紙や水なし印刷を導入しています。
従業員構成と認証
従業員は38名で、そのうち22名が障がいのある社員です。全国重度障害者雇用事業所協会(全重協)が実施する「障害者活躍企業」認証の第1号企業でもあり、障害者雇用に積極的に取り組む姿勢が高く評価されています。
職場環境と支援体制
- バリアフリー設計の職場(車いす対応エレベーター・トイレ、ヘルプコールなど)
- 障がいの特性に配慮した設備(エアーテーブル、パイロットランプ等)
- 6週間の職場実習や定着会議、本人・家族・支援機関を交えた4者面談を通じた定着支援
啓発活動とグループへの影響
株式会社テルベは単なる雇用の場にとどまらず、グループ全体のノーマライゼーションを推進する役割も担っています。手話講座や店舗での指差しステッカー導入、障がい理解に関する社内研修などを行い、セブン&アイグループ全体の障害者雇用の意識向上に寄与しています。
また、地域の学生や市民、他企業の見学も積極的に受け入れ、社会全体への啓発活動にも力を入れています。
株式会社セブンドリーム・ドットコム(障害者雇用を支えるグループ企業)

セブンドリーム・ドットコムは2000年に設立されたセブン&アイ・グループの事業会社で、コールセンター運営やWebサイト制作・運用、店舗設置のマルチコピー機サービスなどを担っています。特例子会社ではありませんが、カスタマーサポートやバックオフィス業務を中心に、障害のある社員も多数活躍しており、グループ全体の障害者雇用を支える存在となっています。
設立・規模
- 設立:2000年2月1日、セブン&アイ・グループの事業会社として誕生(設立当時の日本のインターネット普及率は4割未満)
- 所在地:東京都千代田区二番町8番地8(セブン&アイ本体と同所在地)。資本金は4億5,000万円。2024年2月期の取扱高は2,249億円。従業員数は104名(2024年5月現在)
主な事業内容
- 「セブンチケット」の運営をはじめ、チケット販売全般、損害保険・生命保険の取次業務を実施。
- グループ各社のWebサイトやSNSの制作・運用、コールセンターの運営を担うほか、店舗設置のマルチコピー機によるプリペイドやコンテンツプリントサービスも提供。
グループ内における位置づけ
セブン&アイ・グループでは、セブンドリーム・ドットコムは「コンビニの中枢機能支援」として重要な役割を担っており、グループ展開に欠かせない存在です。国内コンビニ事業の一環として、他の関連企業と並び記載されています。
具体的な取り組み事例
セブン&アイ・グループでは、特例子会社のテルベをはじめ、グループ各社で幅広い障害者雇用を進めています。テルベでは椎茸の栽培や印刷物制作といった独自の事業を展開し、障害のある社員が安定して働ける環境を整えています。また、セブンドリーム・ドットコムではコールセンター業務やWebサイト運営、マルチコピー機サービスの提供を通じて、障害のある社員が活躍しています。
さらに、イトーヨーカドーやセブン‐イレブンなどの店舗現場でも、商品の陳列や清掃、バックヤードでの仕分け、事務補助といった業務で障害者雇用を実施しています。これにより、障害のある方が自分の特性に合った職務で力を発揮できるようになっています。
また、グループ全体で合理的配慮を進める取り組みも特徴的です。職場実習制度やジョブコーチによる支援、バリアフリー設備の導入に加え、社員向けの手話講座や障害理解研修も実施。単に法定雇用率を満たすだけでなく、多様な人材が長く安心して働ける環境づくりを実践している点がセブン&アイの大きな強みといえます。
法定雇用率とは?

法定雇用率の定義と仕組み
法定雇用率とは、障害者雇用促進法に基づいて企業に義務付けられている「従業員に占める障害者の割合」のことです。一定規模以上の企業は、この割合を満たすように障害者を雇用する必要があります。
民間企業では、従業員数が43.5人以上になると雇用義務が発生します。未達成の場合は障害者雇用納付金の支払い、または企業名の公表といった措置が取られることもあります。
必要な雇用人数は「従業員数 × 法定雇用率」で算出します。短時間勤務者は0.5人としてカウントされるなど、計算には一定のルールがあります。


特例子会社制度について
大企業の多くは、グループ全体で法定雇用率を達成するために「特例子会社制度」を活用しています。
特例子会社とは、障害者雇用を目的として設立された子会社で、厚生労働大臣の認定を受けることで、親会社と合算して雇用率を計算できる仕組みです。これにより、専門的なサポート体制のもとで障害のある社員が働きやすい環境を整えることが可能になります。
セブン&アイ・ホールディングスの場合は、1994年に設立された「株式会社テルベ」が特例子会社として認定されており、椎茸栽培や印刷事業などを通じて多くの障害者雇用を実現しています。グループ全体の法定雇用率を支える大きな役割を担っているのが、この特例子会社です。

従業員数から見る必要な障害者雇用人数
障害者雇用数は各企業の従業員数によってかわってきます。セブン&アイ・グループは何人の障害者雇用をする必要があるのか(何人だと法定雇用率を達成できるのか)をみていきましょう。
現在(2.5%)の必要人数
2024年4月から、民間企業の法定雇用率は2.5%に引き上げられています。セブン&アイ・ホールディングスの従業員数(連結:約153,000人)で計算すると、
153,000人 × 2.5% = 3,825人
となり、約3,800人以上の障害者を雇用する必要があります。
2026年7月以降(2.7%)の必要人数
さらに、2026年7月からは法定雇用率が2.7%に引き上げられる予定です。これをもとに計算すると、
153,000人 × 2.7% = 4,131人
となり、今後は4,100人を超える規模の障害者雇用が求められることになります。
大規模グループだからこそ求められる体制
セブン&アイ・ホールディングスのように従業員数が数十万人規模に及ぶ企業では、法定雇用率を満たすために数千人単位の障害者雇用が必要となります。
そのため、特例子会社「株式会社テルベ」の設立や、セブンドリーム・ドットコムをはじめとしたグループ会社での多様な雇用創出は、グループ全体の法定雇用率を支える重要な仕組みとなっています。た仕組みやノウハウを活かし、さらに多様な人材が力を発揮できる職場づくりを進めていくことが期待されます。
まとめ|セブン&アイの障害者雇用のこれから

セブン&アイ・ホールディングスは、国内外に10万店舗以上を展開し、従業員数も15万人を超える日本有数の流通グループです。巨大な組織であるからこそ、法定雇用率を満たすためには数千人単位の障害者雇用が求められます。
その中で、1994年に設立された特例子会社「株式会社テルベ」は、椎茸事業や印刷事業を通じて障害のある方に安定した雇用を提供し、グループ全体の障害者雇用を支える中核的な存在となっています。また、「株式会社セブンドリーム・ドットコム」でもコールセンターやWebサービス運営といった業務において障害のある社員が活躍しており、多様な職域での雇用創出に貢献しています。
さらに、イトーヨーカドーやセブン‐イレブンの店舗現場では、商品の陳列や清掃、バックヤードでの仕分け、事務補助など、障害のある社員が働ける職務を広く提供。合理的配慮や研修制度を通じて、誰もが安心して長く働ける環境を整備しています。
セブン&アイは法定雇用率をクリアしているのか?
セブン&アイ・ホールディングスは、グループ適用5社(HD・セブン‐イレブン・ジャパン・イトーヨーカドー・セブン&アイ・フードシステムズ・テルベ)において、2023年6月1日時点で実雇用率3.16%を達成しており、法定雇用率(2.5%)を上回っています。また、2022年度のグループ全体の障害者雇用率は2.96%と高水準で推移しており、継続的に達成していることが確認できます。
参考:セブン&アイ・ホールディングス サステナビリティ 組織体制 / サステナビリティ データ集(社会)
今後、2026年7月には法定雇用率が2.7%へと引き上げられる予定です。従業員数15万3千人規模のセブン&アイにとって、必要な障害者雇用人数は4,100人を超える見込みとなります。すでに蓄積したノウハウや特例子会社での取り組みを活かし、さらに多様な人材が活躍できる職場環境を拡充していくことが期待されます。
『流通業界』各社の法定雇用率について
「流通業界の各社は法定雇用率を達成しているのか?」会社ごとにまとめていますので是非ご覧ください。