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障害者の方が就職先で一番重視するポイントは?アンケート調査(143名)

就職先を選ぶ際に重要視するポイント アイキャッチ

法定雇用率ナビでは、障害のある方を対象に「就職先を選ぶ際に一番重視するもの」をテーマにアンケートを実施しました。回答者は143名。性別・年齢・障害種別(複数回答)ごとの傾向と、重視ポイントのランキングを公開します。


目次

アンケート概要

アンケート概要
  • 調査方法:インターネット調査
  • 対象:障害をもっている方(職業問わず)
  • 回答者数:143人
  • 調査期間:2025年8月13日~2025年8月13日
  • ※障害種別は複数回答のため合計は154件。

質問内容

  • 性別
  • 年齢
  • 障害の種類
  • 就職先を選ぶ際に一番重視するものは?
  • 何か思うことがあれな書いてください。(自由記述)

アンケート結果

アンケート結果

性別

人数構成比
女性97約68.0%
男性46約32.0%
合計143100%

年齢

区分人数構成比
20代40約28.0%
30代56約39.2%
40代30約21.0%
50代14約9.8%
60代以降3約2.1%
合計143100%

障害種別(複数回答)

件数回答者比
精神障害58約40.6%
身体障害33約23.1%
発達障害28約19.6%
知的障害19約13.3%
難病10約7.0%
その他6約4.2%
合計(複数回答)154

※「回答者比」は143名に対する割合です(複数回答のため合計100%を超えます)。


3. 「就職先を選ぶ際に一番重視するもの」ランキング

順位項目人数割合(n=143)
1位職場の人間関係・雰囲気4833.6%
2位勤務時間の柔軟さ4531.5%
3位業務内容の適性1812.6%
4位給与149.8%
5位サポート体制(ジョブコーチ・相談員など)96.3%
6位休暇制度・福利厚生64.2%
7位障害者雇用実績の有無21.4%
8位その他10.7%

アンケートからわかること

今回のアンケートでは、「職場の人間関係・雰囲気」(33.6%)と「勤務時間の柔軟さ」(31.5%)が、就職先選びの最重要ポイントとして拮抗しました。つまり、求職者は待遇そのものよりも、日々の働きやすさが担保される環境と、生活や体調に合わせて調整できる働き方を重視していると言えます。

人間関係・雰囲気が最重要

良好なコミュニケーション環境、ハラスメント防止の仕組み、意見を言いやすい心理的安全性は、採用力だけでなく定着率にも直結します。上司・同僚との関係性が不安だと、入社後のミスマッチや早期離職につながりやすいため、配属先の雰囲気や支援体制を事前に透明化することが重要です。

勤務時間の柔軟さが応募の決め手に

短時間勤務や時差出勤、リモート勤務の可否、通院・体調変動時の配慮など、選べる働き方は強い訴求点です。働き方の選択肢があるほど、応募障壁は下がり、定着もしやすくなります。求人段階で具体的に示しましょう(例:週20〜30時間から選択可能/通院日は時差出勤OK)。

業務の適性は「すり合わせ」の質で決まる

同じ職種でも企業ごとに求める作業や頻度は異なります。ジョブコーチや面談を通じて、強み・苦手の棚卸しと業務分解(ジョブカービング)を行い、トライアル雇用や職場体験で相互理解を深めるとミスマッチを減らせます。

給与・福利厚生は「基本インフラ」

相場感に見合う給与水準や、有休・特別休暇・通院配慮などの制度は、安心して働き続けるための土台です。上位の決め手にはなりにくい一方、不足があると離職要因になりやすいため、求人票や面談で丁寧に説明できる状態を整えておきましょう。

みんなの口コミ

みんなの口コミ

今回のアンケートでは「就職先を選ぶという観点から思うことがあれば自由に書いてください」と項目を設置したので投稿された口コミ・コメントを紹介していきます。

『職場の人間関係・雰囲気』についての口コミ

女性(20代・発達障害)

私はこれまでの人生でずっと、人間関係で悲惨な目に遭っているので、今度こそずっとずっと私を受け入れ受け止めてくれる人に出会いたいです。

男性(50代・精神障害)

過去にメンタルを数回病んだこともあって精神の3級を所持しており、今年初めて障がい者雇用によって就業しました。その上でですが、職場の雰囲気は本当に大事だと思ったからです。単純に従業員を無下に扱わない雰囲気があること、障がいのある・無しに関わらず、従業員を「駒」でなく「人」と見る上司であること、上司や企業トップが従業員を「人」として尊重する姿勢があること、これらは本当に重要と感じました。上司やトップが人を「駒」と見ている企業は、他の従業員も人権感覚がマヒして人同士の扱い方や接し方が無下な感じになる傾向があると思います。常に相手の立場を考え合える姿勢を全社員が持てる努力をしている企業さんは雰囲気もいいと思います。

女性(50代・身体障害)

体と気持ちが安定し、長続きできる仕事があっての、給料だと思っています。ですので、人間関係や職場の雰囲気が、継続できる仕事なのだと思ってこの選択肢を選びました。

女性(30代・精神障害)

職場の雰囲気が悪いと精神的負担になるから

女性(50代・身体障害)

明るく働きやすい環境なら仕事しやすいですが、パワハラやいじめなどがあれば長続きしないです。

男性(40代・精神障害)

人との絡みや社内の雰囲気に、精神状態が左右されます。

回答には「体と気持ちが安定して長く働けるかは、結局は人間関係と雰囲気次第」という切実な声が並びました。

過去のトラウマ、ハラスメント経験、評価の不公平感への不安から、“人として尊重される”文化と、理解ある上司・同僚を最重視する傾向が明確です。面接時の言動や表情から「合う/合わない」を見極め、違和感があれば辞退するという声も多く、採用段階での“安心の可視化”が鍵になります。

自由記述の要点(要約)

  • 尊重されること:従業員を「駒」ではなく「人」として扱う姿勢があるか。
  • 心理的安全性:いじめ・パワハラのない環境、困りごとを言える雰囲気。
  • コミュニケーション:孤立を防ぐ定期的な対話、合図地・確認の積み重ね。
  • 理解と配慮:特性や通院、食事制限など生活面の配慮が運用されるか。
  • 面接の所作:声のトーン・表情・目線などから価値観の合致を見極めている。

『勤務時間の柔軟さ』についての口コミ

女性(20代・精神障害)

給与はほどほどでいいから病院などに抜けられる環境が良い

女性(50代・精神障害)

うつ病治療中で体調管理をしていても疲れが出やすくなっています。
リモートワークや時短勤務など勤務時間に柔軟に対応していただけると大変助かります。

女性(30代・身体障害)

体調不良になりやすいので、そういう時に柔軟に対応してもらえるのが1番大事だと考えるからす。

男性(40代・身体障害)

月1回以上の通院があるし、体力もあまりなく、体調も不安定なところもあるので、柔軟に働けないと困ります。

男性(20代・身体障害)

常にフルタイムでは働けないので、ある程度時間的融通がきくスーパーフレックスタイム制を求めています。

寄せられた声の多くが、うつ病・PMDD・慢性疼痛・通院など体調の波を前提に、勤務時間の柔軟さを最優先しています。とくに「スーパーフレックスタイム制」「時短・時差出勤」「在宅勤務」「通院配慮」へのニーズが明確でした。また、「見た目で分かりにくい障害ゆえに業務量が増やされる」「忘れやすさへのサポートが欲しい」といった目に見えにくい困りごとへの懸念も繰り返し挙がっています。

主なニーズ(要約)

  • 勤務時間の柔軟化:フルタイム前提ではなく、時間帯・時間数を選べること/日単位での調整ができること
  • 通院・体調不良時の扱い:遅刻・早退・欠勤のルール明確化とペナルティの最小化
  • 在宅・リモート:症状増悪時や移動負担軽減のための選択肢
  • 業務量のコントロール:「できる=無限に振る」ではなく、上限設定と優先順位づけ
  • 記憶・集中の配慮:手順書・メモ・リマインダー等の仕組み化、聞き直しやすい雰囲気づくり

『業務内容の適性』についての口コミ

女性(20代・精神障害)

自分にあっていないことであれば、頑張っても途中で気が狂いそうになるので、自分にあっていて楽しく続けられることしかできないと思う。

女性(50代・発達障害)

自向いている仕事と向いていない仕事、評価される職場と評価が悪い職場、仕事と職場によって大きく振れるため、職場ガチャになりがち

女性(20代・精神障害)

自分が興味を持つことができたり、どういう風に人の役に立てる仕事なのかがわからないと仕事のモチベーションにならない。
ただ、結局一番大切なのは思いやりや助け合いの心がある人と仕事を頑張れるかどうかだが、それはその職場に入ってみないとわからない。場、仕事と職場によって大きく振れるため、職場ガチャになりがち

多くの声が、自分に合う業務内容(適性)実際の運用の透明性を重視していました。「合わない仕事は継続が難しい」「配慮と言いながら現場では“慣れて”で済まされる」「評価が職場で大きくぶれる=職場ガチャ」——こうした不安を減らすには、仕事内容・評価・配慮の“見える化”が欠かせません。

自由記述の要点(要約)

  • 適性:自分に合うタスクであれば困り感が少なく、継続しやすい。興味・社会貢献の実感がモチベーション。
  • 配慮の実効性:「配慮する」と言いながら現場で運用されないギャップが離職要因に。
  • 評価の一貫性:同じ人でも職場次第で評価が激変。基準の明文化と運用が必要。
  • 職場ガチャ回避:入社前に実情がわからない不安。情報開示と体験機会が求められる。

その他の口コミ

男性(30代・精神障害)

抱えている精神障害が出た時にサポートしてくれる人がいると助かります。

女性(30代・精神障害)

どんなに給料や勤務時間などの条件が良くても、障害者雇用の実績がないと周囲の方々の理解やサポートのやり方が分からないのではないかと思う。

女性(20代・発達障害)

障害者雇用だと給料が低いので、就職先には一番重視する。

女性(40代・精神障害)

障害者雇用でうまくいくイメージがあまり無いのは、障害者と雇用先双方が我慢したり不満を抱えたりしてしまうことが問題だと感じるので。雇用先は障害者の特性を考慮したマニュアル等をもって、向いている仕事を用意したり時間的制約に配慮したりしているものと思う。しかし実情を見ると、障害者と共に働く健常者は心が追いついていない例も多いと感じる。言葉で説明を受けそれを理解するのは可能でも、実際障害者と対面で関わるようになると、人間だから感情というものが芽生える。例えば健常者としては十分特性に配慮して接しているのに、障害者は独自のルールにこだわったりコミュニケーションが不得手なため失礼な態度をとったりしているように見える。それを上司に訴えても、「障害があるから仕方ない。あなたが優しく教えてあげればいい」と流され根本的な解決は望めない。いじめに見えてしまうので障害者本人には怒りをぶつけられないとなると、行き場の無い憤りが障害者への不満として内に蓄積されていってしまう。一方で障害者としては、健常者が不満を抱えながらも配慮して接してくれていることは十分に理解している。むしろ勝手に理解し過ぎて必要以上に申し訳ないという気持ちに支配され、本来やるべき仕事の遂行に支障をきたしてしまう程。急な体調不良で仕事を休みたいと思っても、「前も休んでしまったからこれ以上迷惑をかけたくない」という思いで無理をしてしまう例も多いと思う。会社の人には言いづらいことを障害福祉の専門的知識を持った相談員が間に入ってくれれば、「これを言ったらダメかな」等気にせず思いを伝えることができるのでいいなと思う。相談員の人も色々な人がいる印象で、話した内容をそのまま伝言するのではなく適切に取捨選択やアレンジを行ってくれる人が望ましい。行き届いたサポート体制があれば、双方の苦しい思いを我慢させず適切に処理でき、両者が無理なく共存できる理想的な職場を目指せるのではと思う。

まとめ

今回のアンケートでは、就職先を選ぶ時に大事なのは「人間関係・職場の雰囲気」と「勤務時間の柔軟さ」でした。お金よりも、毎日を安心して働ける環境が重視されています。

  • 1位:人間関係・雰囲気(33.6%)…いじめ・パワハラがなく、相談しやすい空気。
  • 2位:勤務時間の柔軟さ(31.5%)…通院や体調の波に合わせて調整できる。
  • 3位:業務内容の適性(12.6%)…自分に合う仕事なら続けやすい。
  • 給与・福利厚生は土台だが、決め手にはなりにくい。

自由記述からは、体調への配慮(時短・時差・在宅、通院OK)、配慮のルールをはっきり示すこと上司や同僚の理解が特に求められていました。

企業は「支援体制・働き方の選択肢・評価基準」を事前に見える化すると、応募も定着も良くなると考えられそうです。

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この記事を書いた人

法定雇用率ナビの編集部です。福祉業界員は5年以上在籍しており、企業の障害者雇用や障害者の方々のリアルな就職状況など目の当たりにしてきました。わかりやすい言葉で様々な角度からの情報をお届けできたらと思います。

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